なかぽつとは?

「なかぽつ」は障害のある方の就労と生活の両面を一体的にサポートする「障害者就業・生活支援センター」の略称です。名称の中の「就業」と「生活」の間にある「・(なか)」から「ぽつ」と読んで「なかぽつ」と呼ばれています。

地域によっては「しゅうぽつ」や「なかぽつセンター」とも呼ばれています。このセンターは障害のある方が働きながら安定した生活を送れるよう、総合的な支援を提供する重要な機関です。

なかぽつの設立背景と現状

なかぽつは2002年(平成14年)に障害者雇用促進法の改正を受けて創設されました。当初は21センターでスタートしましたが、令和6年4月現在では全国に337箇所が設置されています。これらのセンターは国と都道府県からの委託を受けた社会福祉法人、公益法人(社団または財団)、特定非営利活動法人(NPO)、医療法人などが運営しています。

なかぽつの支援内容

就業面での支援

なかぽつでは障害のある方に対して、就職活動から職場定着までの幅広い就労支援を提供しています。

  1. 就職準備支援:履歴書の書き方や面接練習、基本的な挨拶の仕方やビジネスマナーなど、就職に必要な知識やスキルを身につけるための支援を行います。
  2. 職場実習のあっせん:実際に企業で3日~2週間程度、体験的に働く機会を提供し、社会人として必要な知識やスキルを学べるようサポートします。
  3. 特性・能力に合った職務の選定:ハローワークと連携し、障害のある方の特性や能力に合った仕事を見つけるお手伝いをします。
  4. 職場定着支援:就職後も定期的な職場訪問を通じて、職場での状況や雰囲気を把握し、仕事の遂行に関する悩みや同僚とのトラブルなど、困りごとの相談に応じます。

生活面での支援

なかぽつは就労だけでなく、障害のある方の生活面でも様々なサポートを提供しています。

  1. 日常生活の自己管理支援:生活習慣の形成、健康管理、金銭管理などについての助言を行います。
  2. 地域生活・生活設計に関する支援:住居、年金、余暇活動などについての相談や長期的な生活設計に関するアドバイスを提供します。
  3. 福祉サービスの利用支援:「障害年金の制度を受けたいけど手続きが複雑でわからない」「障害福祉サービスを利用したいがどう手続きしたらいいかわからない」といった相談にも対応します。

企業向け支援

なかぽつは障害のある方だけでなく、雇用する企業側へも支援を行っています。

  1. 雇用管理に関するアドバイス:障害者それぞれの特性を踏まえた雇用管理について、事業主に対して助言を行います。
  2. 職場環境改善の支援:障害のある方が働きやすい環境を整えるために、職場環境の改善についてアドバイスを提供します。
  3. 職場不適応時の対応相談:職場や仕事に適応できなかった場合の対応についても相談を受け付けています。

関係機関との連携

なかぽつは様々な関係機関と連携しながら、障害のある方の就業面と生活面の一体的な支援を行っています。

  1. 就労関連機関との連携:ハローワーク、地域障害者職業センターなどと連携して就労支援を行います。
  2. 福祉・医療機関との連携:医療機関、福祉事務所、就労移行支援事業所などと連携し、必要に応じて適切な機関を紹介します。
  3. 教育機関との連携:特別支援学校などの教育機関とも連携して支援を行います。

なかぽつの利用方法

なかぽつ利用の際は、センターに登録することが必要です。各センターには管轄区域が設定されているため、まずは自分の住んでいる地域を担当するセンターを調べることが大切です。

~利用の流れ~

  1. 近くのセンターを探す
    • まず、自分の住んでいる地域にある障害者就業・生活支援センターを確認します。インターネットや厚生労働省のウェブサイト、または地域の役所で調べることができます。
  2. 電話またはメールで予約
    • センターに連絡をして、相談日程を予約します。相談方法として、窓口訪問だけでなく職場や家庭への訪問も可能ですので、必要に応じて相談してください。
  3. 初回面談
    • 予約日にセンターを訪問し、担当者との面談を行います。この際、障害の特性や現在の状況(職歴、生活環境など)について話し合います。履歴書や職務経歴書、障害者手帳、診断書などがあるとスムーズです。
  4. 登録手続き
    • 継続的に支援を受ける場合はセンターへの登録が必要です。登録後、支援プログラムが作成されます。
  5. 支援開始
    • 個別の支援プログラムに基づき、就職準備や生活面でのサポートが提供されます。これには職場見学やインターンシップ、面接対策などが含まれます。

利用対象者と条件

  • 原則として障害者手帳を持っている方が対象ですが、手帳がなくても医師の診断書があれば利用可能な場合があります。また、日常生活や社会生活に困難を感じている方も相談できます。
  • 年齢制限は15歳以上65歳未満ですが、一部地域では例外もあります。

費用について

  • 相談や支援は無料ですが、交通費や職場実習などで発生する費用は自己負担となります。

まとめ

「なかぽつ」(障害者就業・生活支援センター)は、障害のある方が就労と生活の両面で安定した日々を送れるよう、包括的な支援を提供する重要な機関です。就職準備から職場定着支援、さらには日常生活の管理や将来設計まで、幅広いサポートを無料で受けることができます。障害のある方だけでなく、障害者雇用を考える企業にとっても頼りになる存在といえるでしょう!