南天の木(流山市:就労継続支援B型事業所の紹介)

特定非営利活動法人南天の木は、千葉県流山市江戸川台地区を中心に、障がい者の就労支援と地域福祉の推進に取り組む団体です。2010年の設立以来、就労継続支援B型事業を軸に、農業生産、商品販売、カフェ運営など多角的な活動を展開しています。利用者の自立支援と地域社会への貢献を両輪とした運営方針が特徴で、2025年現在も持続的な発展を続けています。

基本情報と組織概要

法人設立と所在地

特定非営利活動法人南天の木は、2010年3月9日に千葉県より認証を受け設立されました。主たる事務所は千葉県流山市江戸川台西2丁目148番地に位置し、東武野田線江戸川台駅西口から徒歩2分の立地にあります。代表理事は山本きみよ氏が務め、2025年現在の会員数は20名となっています。

運営理念と目的

法人の定款に明記された目的は、「障害者が安心して働ける場の創出と提供」を通じた地域福祉の推進です。具体的には、(1)個々の能力に応じた就労機会の提供、(2)生産活動を通じた技能向上、(3)地域社会との連携強化の3本柱を活動の基本としています。山本代表は「受注作業の丁寧な対応と商品の品質管理を徹底することで、利用者の自尊心を育む」ことを重視していると述べています。

事業内容とサービス体系

就労継続支援B型事業

核心事業である就労継続支援B型は、2012年4月1日に指定を受け、定員20名で運営されていま。利用者は次の3種類の活動に従事します。

  1. 委託加工業務:地元企業からの受注作業として、資源回収・分別(月間2トン以上)、箱物折り(年間50万個)、袋詰め包装(食品・日用品)などを実施。
  2. 自主製品開発:肩たたき用「楽々棒」(月産300本)と調理用「カフスカバー」(月産500枚)を開発・販売。
  3. 店舗運営:直営3店舗(後述)での販売業務を週4日ローテーション制で担当。

2024年度の実績では、利用者1人あたり平均月額工賃が35,000円に達し、地域平均を15%上回る水準を維持しています。

直営店舗ネットワーク

カフェ南天(本店)

メイン施設に併設されたカフェで、軽食と飲料を提供。10席の喫茶スペースでは毎月第2水曜日に「障がい者アート展」を開催し、利用者の作品展示販売を行っています。人気メニューの手作りパンケーキ(1日20食限定)は、地元産小麦粉を使用したことが評価され、2024年流山市「地産地消賞」を受賞しました。

ショップポケット(江戸川台東店)

江戸川台駅東口の郵便局前に位置する売店。朝採り野菜(1日50品目以上)と切り花(週2回入荷)を主力商品とし、利用者が単独で運営する「自主営業日」を週1回設定しています。2024年の売上高は2,800万円で、前年比8%増加しました。

ふるさとコーナーひばり

清掃工場隣接の下花輪福祉会館内に立地。浴場利用者向けに土日も営業し、自主製品のほか地元農家の加工品(ジャム・漬物)を取扱っています。2023年に導入した「注文生産システム」では、利用者が直接顧客と打ち合わせを行う機会を創出しています。

農業生産事業

2012年から開始した農業部門では、市内の遊休農地0.5haを借受け、無農薬栽培を実施しています。主力作物のニラ(年間1.2トン収穫)に加え、トマト・キュウリなどの夏野菜も栽培。2024年からは植物工場を導入し、リーフレタスの周年生産を開始しました。

地域連携と社会貢献

企業連携プロジェクト

地元スーパー「流山フレッシュマート」との間で、規格外野菜の買取契約を2023年に締結。年間5トンの野菜を販売し、食品ロス削減に貢献しています。また、市内のホテルと共同開発した「流山産野菜弁当」は、1日100食のペースで提供されています。

ボランティアネットワーク

「南天の木サポーターズ」と称する市民ボランティア団体(登録者120名)が、農作業支援(週2回)とイベント運営を支えています。2024年からは高校生の職場体験受け入れを開始し、年間延べ200名が参加しています。

今後の展開と課題

新事業計画

2025年度から以下のプロジェクトを開始予定。

  1. デジタルショップ開設:オンライン販売プラットフォームの構築(予算500万円)
  2. 多機能型事業所への移行:自立訓練機能の追加により、利用者の生活スキル向上を図る。
  3. 国際認証取得:農業部門でのGLOBALG.A.P.取得を目指した準備を開始。